被災地の復興と日本の発展のために、日本は農業を振興し、大麻を大いに栽培すべき|谷代貴弘

作物の根は土中の養分を吸収して育ちますが、根のほうも有機物を分泌しています。土中の微生物は、動物や植物の残骸の有機物を分解して養分として植物の根に供給しているのと同時に、植物の根から分泌されている栄養を求めて根に集まっていくのです。つまり、微生物と植物が互いに食料を与え合っているという、共生世界が土中で作られているのです。「共存」と「共生」とは似て非なるものであり、共生とは、何らかの関係で助け合うことを言います。自然界に存在するあらゆるものは、このように共生関係の上に存在しています。

昔は、日本中に多くの麻農家がありました。そして日本には、「麻」を庶民の生活の中に取り入れてきた文化がありました。人々は麻の衣を着用し、住居にも麻の茎を利用していました。さらに、麻は罪穢れを祓う聖なる植物として、神社、仏閣など神聖な場所で使われてきました。人と人との絆を深めるためにも麻は重要な役目を果たしていたのです。

かつては、麻の裏作で蕎麦(そば)が栽培されていました。麻は土壌を良くするので、おいしい蕎麦ができるのです。また、麻にとっても蕎麦を植えた後の畑では良い麻が育つという相乗効果があります。麻の実は、ミネラルを豊富に含んだ美味しい食品でもあります。

日本人は、庶民の生活と精神文化に良い影響をもたらしてきたこの植物を、共生社会の象徴として、尊敬の意味を込めて「大いなる麻」、すなわち「大麻」と呼んできたのです。

近年の研究では、大麻は衣・食・住の分野のほか、バイオプラスチックやバイオエネルギーの原料として、また医薬品の原料としての活用が期待されています。科学的な研究報告で、タバコやアルコールと比較して、大麻が危険というデータはありません。

大麻は、世界中ほとんどの地域で栽培することができ、自給自足型・環境保全型の社会形成にとって極めて有用な植物なのですが、第二次大戦後のアメリカによる対日占領政策で大麻取締法が制定され、栽培が一方的に規制されました。占領政策の目的は、日本古来の文化を否定し、アメリカに従属する石油依存社会を作ることにあったと思われます。

3.11以降、自然資源開発の重要性や、人と人との「絆」の大切さが見直されてきた今、麻農家の復活が望まれます。大麻は日本に新しい産業を生み出す可能性があります。被災地の復興と日本の発展のために、日本は農業を振興し、大麻を大いに栽培すべきです。

谷代貴弘(やしろ・たかひろ)

中山弥栄塾 事務局長、大麻草検証委員会 幹事。
これからの新しい社会のあり方を考えていく上で、麻(ヘンプ)という植物が欠かせない資源になることを世の中に啓蒙することを目的にWebマガジン-麻でロハス生活「アサノハ」 asanoha- を企画し、総合プロデュースを行う。

目次