祈りをこめた、一年後の3月11日を超えて|佐倉直海

震災の発生から1年の11日、東京の日比谷公園では音楽家の坂本龍一さんや市民団体が参加する追悼の催しが開かれ、集まった若者などおよそ4万5000人が震災の発生時刻に黙とうして、亡くなった人たちを追悼しました。

主催者の南兵衛こと、鈴木幸一さんは1年後を期して昨年から日比谷公園を押さえ、震災直後から福島と東京を往復し、人が出会い、対話し、結びあい、支えあう流れを一歩づつ丁寧に積み重ねてきました。アースデイ東京つながりの、2000年来の縁。

私の福島のわかもの達や南相馬との関わりも、最初は南兵衛さんが結んでくれたご縁。「つながろう南相馬」の高橋美加子さんとの出会いは、洗練された遺品のディスプレイ。語らずあふれる愛のモニュメント。日本文化は静かないのちの賛歌、神々の「愛」。

昨年3月、福島原発で事故がおきるまで知らないままに、東京で使用する電気のためにかくも大きな哀しみとご負担のリスクを福島の方々に強いていたことに、愕然としました。

一年後の今、改めてその責任を噛みしめています。

この一年、自分に何ができただろうか? 来年の3.11を、どんな風に迎えられるだろうか?

2011年4月、アースデイ東京から発足した「自然エネルギー・東日本復興ネットワーク」の最初に乗り超えるべき課題は、「放射能に汚染された大地の浄化」でした。

昨年4月から始まった「複合醗酵法」による土壌微生物の活性化と酵素の働きによる大地の浄化実証は、いのちを生みだす大地の「蘇生・回帰の科学」として、いのちの円環を取り戻すことのできる古くて新しい技法を極め洗練させた、繊細かつ力強いいのちの農学技術。

この技術の良いところは、福島の方々が技術を身につけて自分達の大地を浄化し、安心・安全な食べ物をもう一度、自分達の土地で生み出せるという希望をつないでくれるところ。

さらに「身土不二」の理が、健康と希望をもたらしてくれるはずです。

あくる年の豊穣を祈願して、農地復活の「事業計画書」は11月新嘗祭の日を期しました。

はからずも、同月末に由井寅子先生にご案内いただいた、静岡県函南の「日本豊受自然農」農場も、のびやかにカブトムシの幼虫とともにいのちを育む醗酵堆肥を活かした有機農法。

実証実験により、その効果は各地であきらかになってきていますが、農薬や化学肥料に汚染されてしまった大地復活の突破口は、日本古来の「醗酵技術」にあり!

それが今年は、広く各地で立証されてゆく年になるのは間違いないでしょう。

「日本の自然型農業復興を共におこないたい」との寅子先生の願いをこめ古今東西の智恵をあつめる、「日本の農業と環境シンポジウム」は、春分の日に。

「民草」の安寧を日本の神々に祈るスメラの道。大地の豊穣をつかさどる豊受大神の御名をいただいた寅子先生の大地との奮えあうような営みが、富士の此花咲耶姫のもとで行われ、京のシンポジウムが、素晴らしい「春の交歓の日」となりますことを心からお祝い申し上げます。

佐倉直海

自然エネルギー・東日本復興ネットワーク代表
ワールドフォーラム幹事長

ワールドフォーラムでは、この3月「未来の子どもたちに安心して残せる国づくり」の観点から原発を支えてきた「お金」の流れを変え、エネルギーを速やかにシフトしてゆくための実践・未来塾です。先陣の智恵と勇気に、「活路発見!」のWF未来塾。希望を見出す日本復興講演会を行います。是非こちらもご参加ください。

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