【来賓講演】信州大学農学部 元特任教授 小谷宗司 氏|第17回

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今こそ糧物(かてもの)の知見が必要な時代

信州大学農学部 元特任教授小谷宗司先生は「かてもの」についてお話しいただきました。

現在の日本の食糧危機に対して、江戸時代の米沢藩が飢饉に備えて研究してリストアップした80種類の植物からいくつかをピックアップしてご紹介。

かてものとして代表的な「五加木(うこぎ)」は、棘状のものがあることから生垣にすることで敵からの守りに使われたことや、食用として茹でてあくだしした新芽をご飯に混ぜるととても美味しいこと、薬用としての加工方法から薬効まで詳しく説明。

またユリ科の「アマドコロ」は、長生きするための薬であり、長期服用しても害がないということ、薬用としては上品(じょうほん)の分類されており命を養う薬をさすとのこと。

アマドコロにとても似ている「ナルコユリ」は、とても美味しいなど、それぞれの植物の食用・薬用について特徴をわかりやすく解説されました。

しかし、見た目が似ている別のものを食べて食中毒を起こす危険があることも。
例えばギョウジャニンニクと間違えてイヌサフランを食べてしまい死亡事故が起こったり、すずらんとも似てるため注意が必要だそうです。

こういった間違いが起こらないようにするためには、同定(鑑定)する能力を身につける事が大切です。火を通す、アク抜きをするなど、適切な処理をすることで安全に口にすることができます。

利用するときはそれぞれの加工方法をしっかり確認して、事故のないように気をつけてください、と、最後にかてものを取り入れるにあたり一番大切なことを教えてくださいました。

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